強迫性障害は、不安な気持ちがもとになって起こる精神疾患です。ふと浮かんだ不快な思考にとらわれ、頭から離れない状況に陥ります。
周りの方から見ると、「ばかばかしい」としか思えない類のことなのですが、強迫性障害はご本人には切実な問題です。
不安という情緒から発生していて、一度支配されてしまうと抜けだすことができず、仕方のないことばかりに思考をめぐらせてしまいます。
そのために、生活するうえで悪影響が出ることも多々あります。
強迫性障害を治すためには、強迫性障害の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、強迫性障害を治したい方のために、強迫性障害の症状・原因・治療について詳しく説明しております。
【目次】
強迫性障害とは、無意味な考えを打ち消すことができずに、不安な状態が続く不安障害のひとつです。
常識で考えると、「そんなこと、あるわけない」と否定できるような妄想じみたものです。
強迫性障害の、よくある症状例として「コンロの火を消したかな?」「玄関のカギは閉めたかな?」と出先や電車・バスの中などで気になります。
不安でたまらず引き返してみると、きちんと火は消され施錠もされています。安心して出かけると、再び同じ考えが頭に浮かんでくるのです。
このような事を数回、繰り返せば「過剰に心配しすぎている」と思うでしょう。理屈では理解できても考えることを止められず、苦しい気持ちが続いていくのが強迫性障害の特徴です。
強迫性障害の症状には、複数のパターンがあります。例えば、意図せず人に危害を加えてしまうのではないか、といった衝動性に関する強迫観念です。
また、他人や公共のもの(電車のつり革など)が不潔に思えて触ることができず、触れてしまうと何度も手を洗わずにはいられない、という行為です。
ちょっとした出来事に固執して「なぜそうなったのか」と理由を追求し人に聴きまくる、自分の行いが正しかったか、あるいは完璧であったかが気になり、確認せずにはいられなくなる、作業などで何度も数えて計算しないと気が済まない、という行動も強迫性障害の症状のひとつです。
症状がひどくなると自身の確認だけでは不安で、家族や周囲の方にも確かめさせて巻き込むという傾向も出てきます。強迫性障害は発症すると回復と悪化を行き来しながら慢性化しがちです。うつ病を併発する可能性も高くなりますので、身近な方の配慮や協力も必要です。
強迫性障害の原因は、完全には解明されていないのが現状です。ひとつは、心因性や環境的な要素が考えられています。
しかし、何かが引き金となり発症するというよりも、もともと原因となるものを持っていて発症するという傾向があります。
強迫性障害を発症しやすい気質はあります。何事にも細かく几帳面である、完璧主義者で、いいかげんなことはしない、という方は注意が必要でしょう。
研究が進む中で、原因として有力とされているのが脳内の働きに関する異常です。
具体的に、大脳基底核(だいのうきていかく)や大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)の障害、神経の伝達物質であるドパミンやセロトニンが、うまく機能していないことです。
精神疾患である「うつ病」や、神経系の障害である「統合失調症」と症状が重なる場合もあります。
強迫性障害の治療には、薬物を使用する方法と認知行動療法があります。薬物療法では、主に神経伝達物質であるドパミンやセロトニンの量を調整するタイプの薬が適用されます。
認知行動療法では、例えば、強迫性障害で「手を洗う」行為を限りなく繰り返す症状があります。実際に手は汚れているわけでなく、「洗いたい」という衝動が止められないのです。
そこで、あえて手を汚し「洗いたい」気持ちを抑える訓練をします。洗う回数を減らしていき、気にならないレベルまで意識をコントロールするのです。何度も数えることがやめられない方は、数えた回数を記録し、少しずつ行為そのものを減らす操作をします。
最終的には、不安な気持ちが生じない状態を維持できることが目的です。ただ現段階では専門分野が少なく、今後の普及がのぞまれるところです。薬の服用と並行して、ふさわしい方法が選択できる状況になれば理想的です。
強迫性障害は、脳内の神経伝達物質の障害なのですが、不安が強いことから不安定で苦しい思いをされることでしょう。強迫性障害は自律神経のバランスが乱れます。自律神経のバランスを整えることが強迫性障害の改善には重要です。どうぞあきらめず、効果の得られるよう治療に専念することが大切です。